2026年1月20日

2026年にHRおよびL&Dリーダーが備えるべき5つの学習トレンド

新年を迎え、テクノロジーはこれまで多くの組織が経験したことのない速度で働き方を変革し続けています。それに伴い、人事・人材開発リーダーへの期待も変化しています。課題は新たなツールの導入から、組織と従業員が変化する環境に思慮深く適応できるよう支援することへと進展しています。

「私は30年間テクノロジー分野で働いてきましたが、これほど短期間で急速かつ大きな影響を与えるものは見たことがありません」

— Lee Schuneman(EF EdTech プレジデント)

この変化は、私たちの働き方、学び方、そして長期的なキャリア形成の考え方にまで、広範な影響を及ぼしています。人々が仕事にどのように向き合い、どのように学び、将来のキャリアをどう描くのか――そのすべてが大きく変わりつつあります。こうした変化の交差点に位置しているのが、人事(HR)部門です。

いま組織のパフォーマンスを支えるためにHRに求められているのは、チームがAIの役割を正しく理解し、責任を持って、かつ効果的に活用できるよう支援することです。AIを単なるテクノロジーとして導入するのではなく、人の能力を高める存在として活用できるかどうかが、これからの競争力を左右します。

このような背景のもと、EFのシニアリーダーたちは、2026年に向けてHRおよびL&D(人材・組織開発)戦略を形づくる5つのトレンドを提示しています。これらのトレンドは、AI時代における人材育成の方向性を示す重要な指針となるものです。

1. AIの役割の変化:タスク支援からプロセス設計へ

AIの導入はすでに多くの企業で進んでいますが、その成熟度はまだ初期段階にとどまっているケースが少なくありません。多くの従業員は、メールの下書きや情報の要約といった個別タスクの補助としてAIを活用しています。こうした使い方は確かに時間短縮にはつながりますが、仕事の進め方そのものを変えるには至らないことが多いのが実情です。

しかし、今年起きているより本質的な変化は、業務をエンドツーエンドで再設計する動きです。

「AIを使ってプロジェクト管理を速くする、メール作成を速くする、という話ではありません。プロジェクトやタスク全体の流れを見直し、その中でどこにAIを活用すれば複数の工程を自動化できるのかを考えることが重要なのです。」

–  Ben Hope(EF Corporate Learning シニア・バイスプレジデント)

AIが引き続き経営の重要テーマである中、HRには組織全体のAIリテラシーを高め、この「プロセス設計」を可能にする役割が求められています。

具体的には、業務を段階ごとに分解し、どこに自動化を適用できるのか、そしてどこに人の判断が不可欠なのかを理解する力を育成することです。

多くの従業員にとって、こうしたスキルは自然に身につくものではなく、体系的な育成と実践的な経験が必要です。そして今、この能力はシニアリーダーから見ても、極めて重要な要件として認識されつつあります。

2. コンテンツ消費から「実践型学習」へ

近年、デジタル学習やAI活用により、学習コンテンツへのアクセスはかつてないほど容易になりました。しかし2026年においてより重要な問いは、その膨大なコンテンツが、実際のパフォーマンス向上につながっているのかという点です。

「コンテンツライブラリは世の中に溢れていますが、本当にパフォーマンスやモチベーション、エンゲージメントを高めるのは何でしょうか?」

–  Maddie Diaz Stevens(EF Corporate Learning プロダクト責任者)

その結果、HRは「学習がどのようにスキル習得を支えているか」に、より強い関心を向けるようになっています。特に注目されているのが、シナリオベースや職種別の学習です。これにより、従業員は実際の業務で直面する判断や対応を、疑似的に体験しながら学ぶことができます。

「 Blended learning は、実際の業務シナリオの中でこそ最大の効果を発揮します。」

–  Shoko Hasuo(EF Corporate Learning カスタマーサクセス・イネーブルメント ディレクター)

効果的なプログラムは、知識の習得にとどまらず、現場で使う自信を育てることに重点を置いています。また多くの企業では、学習をキャリア形成やリーダーシップ育成と直接結びつけ、従業員が「なぜ学び続けることが自分自身にも組織にも重要なのか」を理解できるようにしています。

3. パーソナライズは「コンテンツ」ではなく「学習体験」へ

AIの進化により、学習のパーソナライズは新たな段階に入りました。しかし、真に意味のあるカスタマイズは、単なるコンテンツ推薦を超えたところにあります。2026年におけるパーソナライズは、学習体験そのものの設計に重心が移りつつあります。

「私たちは今、カスタマイズの新しい段階に入っています。それはコンテンツのカスタマイズではなく、学習者のタイプに応じた体験の多様性です。」

— Lee Schuneman(EF EdTech プレジデント)

AI主導の学習を積極的に活用できる人もいれば、人の文脈理解や判断を通じたサポートからより大きな価値を得る人もいます。これからの主流モデルは、テクノロジーと人の支援を統合するアプローチです。

AIは頻繁なフィードバックと集中的な練習を提供し、人のサポートは解釈やニュアンスを補完します。これにより、拡張性と個別対応の両立が可能になります。

4. 学習基盤の戦略的な統合

もう一つの明確なトレンドは、分断された学習環境から統合型アプローチへの移行です。これまで多くのグローバル企業は、地域ごとに異なる学習ベンダーを利用してきましたが、その結果、プログラムが分断され、全体像が見えにくくなるという課題を抱えていました。

「ローカル主導で断片化された学習から、より集中化され、データとキャリアに基づく学習へと移行する流れを感じています。」

–  Shoko Hasuo(EF Corporate Learning カスタマーサクセス・イネーブルメント ディレクター)

2026年に向け、多くの企業がこのモデルを見直しています。統合により、学習は単発の施策ではなく、一貫した成長のジャーニーとして設計されるようになります。統一されたプラットフォームは、複数の学習形態をつなぎ、全社レベルでのスキル可視化を可能にします。

この変化は、学習内容の位置づけにも影響を与えています。例えば語学学習は、もはやローカルな要件ではなく、グローバルチームにおける協働とインクルージョンの基盤として再評価されています。

5. 価値の可視化とROIへのプレッシャー

これらすべての変化の背景には、価値を明確に示すことへの圧力があります。予算の厳格化が進む中、HRやL&Dには投資がどのように組織成果につながっているのかを説明する責任が求められています。

2026年には、この期待が学習施策の設計段階から反映されるようになります。目的の明確化、進捗の測定方法、成果を評価する指標――これらを事前に定義することが不可欠です。

もはや「実施した」という事実だけでは十分ではありません。

この流れは、外部パートナーとの関係にも影響を与えています。測定と成果は共同責任と捉えられ、提供開始前から「成功とは何か」を明確にすり合わせることが重要になっています。

今後に向けて:好奇心のある組織文化を築く


2026年初頭におけるHRリーダーシップの鍵は、イノベーションへの開放性と、冷静な評価力のバランスにあります。

「好奇心と批判的思考の両方を育む文化をつくること。 それを支援できるHRリーダーは、大きな成功を収めるでしょう。」

–  Ben Hope(EF Corporate Learning シニア・バイスプレジデント)

新しいツールや手法は今後も次々と登場します。重要なのは、探索を促しながらも、本当に価値を生むものを見極める判断力を保つことです。

HRおよびL&Dの役割は、学びが人のために機能し続け、組織の目標と整合していることを確かなものにすることにあります。